現在、その運営を中心に担う 福田秀一副院長に、病院の理念や思いについて「働く女性を応援するネットワーク型情報誌」を発行するアヴァンティ編集部の村山由香里さんがインタビュー。 求める人材像、これからの地域医療のあり方など、熱い対談となった。
久留米大学医学部卒業、医学博士、久留米大学外科学講師。専門分野は肝臓外科、消化器外科。久留米大学、済生会二日市病院の勤務を経て、2006年6月より現職。資格、役職は日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本肝胆膵外科学会評議員など。趣味は、テニス、病院運営、子どもと一緒に遊ぶこと。
九州大学文学部卒。1993年自宅マンションで起業、「働く女性を応援するネットワーク型情報誌」をコンセプトに、女性たちに勇気や希望や元気を与える情報誌づくりやイベントを手がける。2008年内閣府「女性のチャレンジ賞」受賞。主な公職に福岡県中小企業家同友会副代表理事、福岡県「子育て支援企業アドバイザーの会」委員ほか。
会社HP http://office.e-avanti.com/
今、福田病院では看護師さんの子育て支援に力を入れてらっしゃると、お聞きしました。
この間は、福岡県の「子育て応援宣言」をされたと聞きました。
これから、病院運営をどのように進めていかれるご予定なのでしょうか。
ちょうど院内託児所を作ろうとしていて、フレックス制度も導入しています。
それから、急にお子さんに熱が出て朝少し遅くなる、休むという時は、誰かがカバーする、といった
お互いに助け合う土壌が昔からありました。
患者さんや患者さんの家族の方に満足していただく医療を提供するには、
看護師さんの力は大きい。ですからその環境整備をまず始めようと。
「子育て応援宣言」の内容は、
- 院内託児所を設置します。
- 育児休業を3歳になるまで取得できるようにします。
- 院内広報誌やメールマガジンの送付など、休業中の職員とのコミュニケーションを図り、復帰への不安を和らげます。
- フレックス勤務や隔日勤務などの希望、子供の病気、体調不良、学校行事などに応じた柔軟な勤務体制をつくります。
- 育児休業から職場復帰に向けた研修を実施します。
という内容です。
この宣言内容を院内で発表されたりしましたか?
はい。ちょうど一昨日の朝礼でスタッフへは伝えました。
「内容はこうです。3月までに保育所作ります。先日、福岡県の「子育て応援宣言」をしました。
みなさんネームプレートに「応援宣言」のロゴマーク入れましょう。
名刺にも入れましょう」という話をしました。
スタッフの皆さんの反応はどうでしたか。
とてもなんかざわざわとしていましたよ。
「託児所できるんだ、嬉しい」とか、すでに申し込みの人たちも出てきています。
経営トップが「職場で子育てを応援しますよ」ということを表明すると、
「育児休業を取って、また働けるんだ」って安心できるスタッフがたくさんいますよ。
元々、福田病院では育児休業を取られている方が毎年いらっしゃるんですよね。
平成21年は現在のところ7名です。ほとんど皆さん、まず100%取るんです。
そうですか、元々100%取られるんですね。普通の企業ではなかなかそこまでできないですよね。
では、子供ができて辞めるという方はあまりいらっしゃらなかったのですか?
そうですね。みんな復職してきて、「ああ、帰ってきたね」と声を掛けます。
今日も一人、技師のスタッフが帰ってきまして、そういう話をしたところでした。
特に病院という職場は、これからは女性に優しい職場でないとだめだと思います。
女性は診療の質が良いのはもちろんのこと、気がつくことも多いので病院が素敵にきれいになる。
そうすると、働いている人たちが笑顔で過ごせるようになります。
ですから、労働環境の面もきちんと支援していきたい。
「患者様からも、スタッフからも女性に好かれるような病院にしようね」といつも話しています。
こちらでは病院に勤めながら、看護学校に通えるようになっていますね。
はい。奨学金も渡しています。
奨学金ですか?
そうです。希望する人は奨学金の制度があるので、「奨学金をもらってください」と話しています。
それは病院側が出されるのですか?
はい、病院から出しています。
卒業後、3年間当院で勤めたら返却しなくていい、ということになっています。
医療の現場にいると、実習や、医学を勉強する上でも、看護を勉強する上でも役に立つと。
そういう介助者の人たちと働きながら奨学金をもらっている、という状況ですね。
私はとてもいいことだと思っています。
本当ですね。病院から奨学金をもらえて、そして資格を取れて、勉強をするだけでなく、 実際に臨床もできて、と言うのですから、本当に素晴らしい制度です!
ですから本当に現場の看護師さんたちが優しくなり、 笑顔になり、スタッフのための色んな支援をしたいなという気持ちですね。
男性看護師さんがたくさんいらっしゃるんですね。
ええ。彼らも奨学金をもらっていますよ。正看護師になろうと一生懸命です。
最近では、男性看護師さんが増えているんですね。これは医療の現場ではどこもそうなのですか?
そうですね。全体に増えていますよ。とても優しいですね、彼らは。
ですから、職場の雰囲気もとってもよくなってきたということもありますね。